インサイド・マン
Inside Man 2006年 米 スパイク・リー監督
当事者の映画。
★★★☆
『25時』で、雇用統計を巡る確執があるけれど、本作と合わせて、「ろくでなしのガキ」とか「クソ上司」といったものに対して鬱積はあるのだとは思う。個人的に、サブプライム・ローンの貸し手責任(そんなものがあるとして)は、このあたりの層にあるような感じがするけれど、生き残っている自分のほうがカッコいいのだろうと思う。クライヴ・オーウェンはこの計画を通して自分(たち)の完璧さを証明するのだという。
活力のある映画。けれど、その向かう方向は、謎の核心や標的に近づいていくほど模糊としてくる。『10ミニッツ・オールダー』での一篇を思い出す。漠然とした共感と、大きな引っ掛かりと。「教育が必要だわ」という。それがどういうものかとなると、とうてい明らかにできるようなものではないような気がする。対立候補なり、ナチ協力者なり、標的は前提であっても、いや、前提とするところに、標的の相同性に取り込まれていくような感じ。畳みかけるような編集は、それを隠すためか、あるいは、自分で気付きたくないためか。
見ていて、なぜか『イースト/ウエスト』の時代を髣髴してしまう。「もう後戻りはできないんだ」という強力な観念-現実。「革命」のところには別の単語が取って代わっているのだろうけれど、勢い、というのが、退路を食い物にして見せるというところにあるようで。
映画は難しくなった、と思う。サーファーの波に対するように作られた映画に出会えたら、とごく個人的には思う。映画を当事者としてサヴァイヴするとなると、そうはいかなくなってくるのだろうとは思う。(もっとも、リー監督のバックボーンといえるヒップ・ホップは、当事者性というとき、その一面をブーストさせてきた感がある)。C・オーウェンはカメラを不敵に見据えてみせることなどないのだと思う。
J・フォスターが、言葉を継ごうと「(スーッ、チッ)」とするたび、役柄の上のことといえど、この映画のいる、見えない息苦しさを思う。
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