マッチポイント
Match Point 2005年 英・米・ルクセンブルク ウディ・アレン監督
斜め上の反射角。
★★★★
『ミリオンダラー・ベイビー』と、『アワーミュージック』は、この作品と重なる。自分より若い女の死にどう対峙するかという物語であるから。
C・イーストウッドが、反道徳的でありながら(であるがゆえに)英雄的な話を仕立てるのに対して、J・L・ゴダールは、アントニオーニに託けて「映画」という霊廟をささげる(※)。
ウディ・アレンは、まだまだ現役のよう。外国に来たわけだし、時効だし、もういいか、という感じで、武勇伝を聞かせる。疾しさを突き付け、否応なく共有させていく。そういうのは、おそらくいまの観客の好みには合致しているもの。
個人的に、クロエの父親の寛容さの得体の知れなさが怖かった。ラストは、その意味で安堵できた。
いわゆるセレブ顔になったS・ヨハンソンの役柄にあまり実在感を感じなかった。(俳優(の卵)という感じもしない。モデルとも違うし)。クロエ役のエミリー・モーティマーがものすごくリアル。電話を持ってるさまとか、両手を上げて見せるのとか、見ていて、うわぁ、となる(※2)。
香気ある黒さを食らったという感覚はある。でも、どこか消えない新書の匂い。「使える」というか、映画を見たというのとは別のところに何かを蓄積してしまった感が残る。これからは映画を観なくはないけど、別に映画を観なくていい、というような感覚(ここでひとつ映画一般がつまらなくなる)。『リプリー』のほうがリッチな映画ではある。
※植物を手入れしてるときの、めずらしくおどけた姿が、自分の入るところはもうできたからね、と言っているようでなんだか泣きそうな気分になった。
※2 ボディ・ランゲージ、とはいっても、たいていはメタのコードを見せられることになるのだけれど(そのコードこそが映画だともいわれる)、ここまで生来からよく無意識に保存されてきたのを見ると、単純に心が洗われる(自分の無意識じゃなさというか)。
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