唇によだれ
L’Eau à la bouche 1959年 仏 ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ監督
才気と活動。
★★★
物足りなさを感じるのは、しかし、遺産相続がもっとプロットに練り込まれていれば、ということではなくて、作り手が具体的に場に面して、拡散してしまったことできてしまったことを思う。(映画制作)「活動」とは、その成し手自身に表明や弁明を強いるもの。いわゆるヌーヴェル・ヴァーグとは、それ自体は活動であるにもかかわらず、その作品群は、不思議ともっと(たとえば死とか写真といった形で)定着という相に位置づいていたりする。
冒頭のシークェンスに、作り手の本来性を感じる。ヨーヨーをしながら歩く。長い焦点。遠心力を内にたたえて。バランスと歩調。
屋根の陰、隠れ場所を「(見つけたよ)」という感覚。存在を持つ場所。「活動」を収められる場所。あの足取りでアプローチする。降りて来る。
フランソワーズ・ブリヨンの目の光芒。ワンピースの水着。ベルナデット・ラフォン。「地味なシニョンの女と思っていた」。従兄、という感覚。存在は知っていたひとを初対面のように見る。遠さと近さと。
活動が踏みならしていったもの忘れさせてくれるものよそに、明かりとりを限って到来した部分に、映画の領域を思う。
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